「だれも知らない小さな国」と「豆つぶほどの小さな犬」が最初に出版された時に挿絵を担当されていたのは、若菜珪さんという方でした。
残念ながら私は未見なのですが、童画風の可愛らしい挿絵だったそうです。
しかし、若菜さんから、画風が変わった事などを理由に、挿絵を降りたいという意向が示されたため、それに代わって村上勉さんが挿絵を
担当することになりました。
村上さんの挿絵には、佐藤さとるさんの『ファンタジーの絵はあくまでもリアルでなければならない』という意志が強く反映されています。
お二人は、“いわゆる人間にならないようにしつつも、人間からかけ離れないスタイル”のコロボックルを生み出すために、何度も打合せを重ねたそうです。
そして、その結果生れたのが、今私達が眼にするコロボックルの姿なのです。
若菜珪先生略歴
1921年 埼玉県に生まれ。多摩美術学校在学中より舞台美術を志すが、雑誌『子どもの世界』に口絵を書く事により絵本・挿絵などの仕事を重ねる。
上崎美恵子「月夜のめちゃらくちゃら」(旺文社)や昔話に挿絵が多い。
村上勉先生略歴
1943年 兵庫県八鹿町に生まれる。
1964年 佐藤さとる先生と出会い、挿絵・童画の世界に入る。
第16回小学館絵画賞
1972年 ライプチヒ図書展銅賞などを受賞
『コロボックルシリーズ』をはじめ、佐藤さとる作品の挿絵を多数手がける。
出版総数は800冊を超えている。
代表作:『おおきな木がほしい』、『おばあさんの飛行機』など
・挿絵に関する記述は、偕成社『現代児童文学作家対談1』と
『MURAKAMI WORLD』を参考とさせていただきました。