別館・てのひら島

このページは、コロボックルシリーズ以外の佐藤さとる作品を紹介しています。
今後、増える可能性のある唯一のコンテンツかも…(^^;;ま、気長にお待ち下さい。



 紹介作品一覧

コロボックルシリーズの姉妹編
井戸のある谷間てのひら島はどこにある

男の子が活躍するお話
秘密のかたつむり号わんぱく天国
ジュンと秘密の友だち

夢にまつわるお話
ネムリコの話

むかしむかしのお話
きつね三吉龍のたまご

佐藤さとるの世界
だれも知らない小さな話

絵本の世界
不思議な不思議な長靴NEWおおきなきがほしい









赤いトマト 井戸のある谷間 赤いトマト

 この物語は、佐藤さとる先生が「だれもしらない小さな国」を書く以前に、同人誌に発表した最初期の作品の一つです。

 若い男女の出会いをさりげなく描いた作品で、これと言った不思議な出来事も起きません。本当にシンプルな短編なのですが、山の谷間の緑が作り出す、涼しげな風景が自然と浮かび上がってくるような作品です。

 佐藤さとる先生は、この短編をもとにして二つの長編を生み出しました。それが「だれも知らない小さな国」と次に紹介する「てのひら島はどこにある」です。
そういう意味では、佐藤さとる作品の原点とも言える作品でしょう。是非、一度読んでみてください。




この本は1950年に同人誌「豆の木」に発表されました。佐藤さとる全集九巻(講談社)や、講談社文庫佐藤さとるファンタジー童話集Xに収録されています。
 






青いトマトてのひら島はどこにあるa青いトマト

 いたずらっこの太郎は、ある日お母さんから、虫の姿をしたおかしな神様の話を聞きます。
いたずら虫や、泣き虫、おこり虫に、ひねくれ虫・・・そして、どうやらいたずら虫のクルクルは、太郎に取りついているようなのです。


 この物語は、太郎が考えたおかしな虫の神様の物語と、現実世界の出来事が交差して進んで行きます。幼いころの出会いが大人になってから実を結ぶところなどは、コロボックル物語に通じるものがあります。

 それもその筈、この二作は共に、「井戸のある谷間」を長編に仕立てようとしている過程で生れた作品なのです。

 最初に考え出された長編の構想は、残念ながら完成には至りませんでした。
 しかし、佐藤さとる先生は、再度、新たに構成を立て直し、全く別の物語に作り変えることを試みました。そして、その結果生れたのが、「だれも知らない小さな国」だったのです。

 一方、「てのひら島はどこにある」は、「だれも知らない小さな国」の完成後、数年の間そのままになっていた初期構想に基づいた原稿を集約し、新たに仕上げた作品です。
 ですから、この作品はコロボックル物語の原型とも言えるでしょう。

 佐藤さとる先生もこの作品を「だれも知らない小さな国」の姉妹編と位置づけていて、あとがきで、『さんざん手古ずらされたためか、「てのひら島」は私の最も好きな作品となってしまった』 とも書いています。

 私も、想像と現実がくるくると切り替わるリズム感がお気に入りの一冊です。
 コロボックルの原型が虫だったというのも意外な発見でした♪
「だれも知らない小さな国」の中に、コロボックルが飛びまわる姿をこおろぎのようだったという風に描写している所があるのですが、そのイメージもそういうところから生れたものだったのかなぁ。。。などと思ってしまいました(^^)




この本は理論社から1965年に出版されました。
他に、佐藤さとる全集七巻や、講談社文庫佐藤さとるファンタジー童話集Xに収録されています。
2003年3月に理論社より『新・名作の愛蔵版』として、再版されました。


詳しい情報はこちら→
BK1
表紙の画像もごらんになれます。

  
 

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