この本は、一般書として初めて刊行された、佐藤さとるさんの自選随筆集です。
　１９７０年代中頃以降、佐藤さとるさんが執筆された随筆をまとめたもので、７０年代から現在に至るまでの足跡の一端が刻み込まれています。

　佐藤さとるさんの生い立ちに沿う形で、まとめられているので、佐藤さとるさんが作家になるまでの道のりを、辿ることが出来るようになっています。

　なによりも、子供の頃の思い出を語るエピソードのあちこちに、どこかで会ったことのある男の子の面影がちりばめられているのが、たまらなく楽しい本だと思います。

　せいたかさんはもちろん、「わんぱく天国」のカオル君、「てのひら島」の太郎くん、「ジュンと不思議な友だち」のジュン君・・・みんな、この本の中から、顔を覗かせていました。

　ファンにとってこの本は、佐藤さとるさんのイメージの源泉が、いっぱいつまった宝の地図に違いありません。
　地図を片手に、佐藤さとるワールドを、もう一度探検しなおすのも、楽しいのではないかと思います。

（2003.2.18.UP）

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