■2003/12/16 (火) 森美術館「ハピネス」展 |
この秋一番、マスコミが取り上げた展覧会・・・だと思います。
六本木ヒルズの最上階というすばらしくオサレな立地条件に位置する森美術館は、展覧会チケットで、展望台にも入れるという、まさにデートコースにぴったり♪な美術館です。
しかも、開館時間が長くて(金土日はなんと深夜12時まで開館!)、仕事の後にも余裕で行けるという、民間企業ならではの気合と、いたれりつくせりのサービス精神に満ちた場所でもあります。
入館料が1500円とチトお高いのは痛いのですが、一度は見たいとずっと思っていた若冲の「鳥獣草木図屏風」が出展されるとあれば、行かないわけには行きません。
展覧会が始まって早々に行ってきました。
開館時間が長いことをいいことに、私は夜の7時ごろに会場に入ったのですが、会場はめちゃめちゃ広くて、みどころ満載、ふと気がつけば11時過ぎまで美術館のなかにいることになってしまいました。
予定では、展覧会を見た後に、豪華ディナーを食べるはずだったのに、なぜか近所の深夜営業のファミレスで、夜食、ということになってしまいました。せっかく六本木ヒルズに行ったのに。。。それだけが悔やまれてなりません(苦笑)
で、肝心の内容ですが、率直に言って面白かったです。
広い会場内には、現代物を中心に、仏像、リンガに、世界地図、モネやピカソや、映像などがあちこちちりばめられ、挙句の果てには、北斎の春画まで、百花繚乱、これでもかといわんばかりに、展示されていました。
ハピネスというよりも、カーニバルって感じでした。
ちょっとテンションが高すぎて無茶をはじめる寸前で止まっているような、ギリギリ感のある展示だったようにも思います。
ま、お金をかけているだけあって、この展覧会にあわせて作られた新作もいくつも出ていたし、外国から招聘したキュレーターが、いままでにない展覧会を見せます!と息巻いていただけあって、学芸員のエンターティナーとしてのセンスが存分に発揮されている展示でした。
世間の評判は、心なしか厳しいようにも思うのですが、現代美術になじみがなくて、むしろ苦手としている私のような人間が見ても、あー面白かった、と思えるのですから、とっつきやすさはあると思います。
美術館で遊ぶ、という感覚で鑑賞することができるという点において、評価すべき展覧会と言えるでしょう。
個人的な見所は、なんといっても若冲の「鳥獣草木図屏風」が見れたことにつきます。
まさにやっと会えたね。という感じです。
この作品、とにかく見ていただかなくては、そのおもしろさが伝わらないのがもどかしいのですが、方眼の升目で画面が構成されており、升目を塗り分けて、多種多様な動物が描かれています。
想像上の生き物に対する若沖の豊かな想像力と、方形の色面で画面を構成しなければならないという制約が、相乗効果を生んで非常におもしろい作品世界が作り上げられています。
一説によると、この方形の升目は、西陣織りなど織物の下絵にヒントを得て描かれたといわれています。詳しくはこちら。
どのような経緯でかかれたのかは、さておき、このような独特な方法で描かれた作品は、本当に例がなく、江戸時代に描かれた作品にもかかわらず、最先端のアートに負けない、先鋭的な感性がほとばしっていました。
これを見ることができただけでも、入館料の元は取れたと思っています。
唯一残念だったのが、この作品の展示してある次の部屋から、ずーーーーーっと中国語で『はっぴばーすでーとぅーゆー』という歌声が鳴り響いていたことです。
なんで?という感じですが、この歌声も、映像を使った現代美術作品だったんです。これが非常に耳障りで、若沖の世界に入り込む大きな障害となってしまいました。
若沖の作品には、特に思い入れが深かったので、よけいにイライラしたのだと思うのですが、この問題は、ここだけでなく、会場全体の問題点だったように思います。
というのも、会場のあちこちに、映像に音声を駆使した作品が展示してあって、ほかの作品を見るときのじゃまになっていたのです。
とにかく会場が広いので、ずっと立ちっぱなしで見ているよりも、一休みするためのスペースがあるのは、悪くないと思うし、映像ブースで、作品を鑑賞しながら一休みできるのは、ありがたかったのですが、もう少し、防音効果というか、ほかの作品を鑑賞する際の妨げにならない方策が、必要だったように思います。
そのようないくつかの欠点がなかったわけではないのですが、夜景も堪能できたし、とにかく楽しむだけ楽しんででてきたという満足感はある展覧会だったと思います。
この美術館の今後の活動を大いに期待しています♪
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