ひまわりの展覧会へのみちしるべ
2004年2月

■2004/02/02 (月) 「棟方志功 〜わだばゴッホになる〜」

あけましておめでとうございます(遅!)
この時期にこのフレーズを使うのってめちゃめちゃ違和感ありますね。
遅まきながら、今年最初の更新です。
まさか2月になってしまうとは思ってもいなかったんだけど。。。(^^;;
相変らずな感じではありますが、今年もよろしくお願いします。

 さて、今年最初の更新は、Bukamaura ザ・ミュージアムで、開催していた棟方志功展です。
 私にとって棟方は、(かなり偏見に満ちているとは思うのですが)おじいちゃん、おばあちゃんアンド外国人に受けるタイプの版画家というイメージの人でした。
なんといか、土産物屋の店先に並ぶのにちょうどいい日本テイストをかもし出しているアーティスト、という印象しか持っていなかったんです。
極度の近視で、版木に顔をくっつけるようにして、作品を掘り込んでゆく独特な姿とか、訪問した先々でユニークなエピソードを残しているあたりに、イメージだけが一人歩きしているような作為を感じて、敬遠してしまっていたのかもしれません。
 この展覧会の広告を見た時、実は、敬遠したまま、きちんと見たこともなかったなぁ、ということに思い至り、一度見ておいてもいいかもと思って、行ってきました。

 んで、感想はというと、うーん。。。実はそれほど印象は、変わらなかったです。
まぁ土産物屋の店先にならべるのには、スケールがでかすぎるかな、という程度に認識が改まりましたケド★
 なんというか、挿絵から、壁画まで、求められるサイズにあわせて、その空間を生かす作品を作れる人だったんだなぁという感じがしました。

 だから、いわれるほど、無垢で衝動的な人にも見えませんでしたねぇ。
新しい知識を自分の作品に取り込む熱意と貪欲さは素晴らしいと思いましたが、と、同時に、世間のニーズに対する敏感さも兼ね備えていたという確信を深めてしまいました。

 …なんだか意図していた以上に辛口になってしまいましたが、決してこの人のことを否定しているわけではなりません。
近い時代に生きていた人だけに、そのあざとさが、はっきり見えてしまったんじゃないかと思います。
もしかすると、版木にニスのようなものを塗って、再版できないようにしていたりとかするあたりに、金銭的なドロドロを垣間見てしまったのかもしれません。

 個人的に面白かったのは、版画をはじめた初期にかかれた洋風な童画のような版画や、アメリカに行った後に作られたアルファベットを取り入れた作品のように、棟方の意外性を感じられる作品でした。

あと、肉筆で描かれた禰舞多運行連々絵巻は、躍動感あふれる筆さばきが、すばらしくさえていて、見とれてしまいました。
さりげなく、自分と奥さんの姿を書き入れているあたりに愛嬌があって、そういうところにも好感が持てました。

 版画作品で面白かったのは、谷崎潤一郎の「鍵」の新聞連載のためにかかれた挿絵を屏風仕立てにしてあった作品群。
いままで棟方の描く女性に色気を感じたことはなかったのですが、はじめて色っぽいと思ってしまいました。

 逆に、意外とつまらなかったのが、油彩画です。
彼が、最初油彩をやっていたけれど、版画に転向したというのも納得でした。
なんというか、いかにも日本人が描いた油彩画という感じの作品で、版画という技法とのめぐり合えなかったら彼はどうなっていたんだろうと思わずにはいられませんでした。

 それから作品というわけではないのですが、版画につけられた鮮やかな彩色が、裏彩色という、紙の裏から色をぬって表ににじませる技法を使っていたことも、興味深かったです。
この技法、仏画などに時々使われる技法だと思うのですが、版画に用いることがあるということを初めて知りました。

 この展覧会、回顧展としては、かなり規模も大きいし、棟方の全容を知るには、なかなかよい展覧会でした。
 彼に対する認識にそれほど変化があったわけではないのですが、それも含めて、食わず嫌いをしないで行ってよかったと思うことができました。

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■2004/02/06 (金) 「テレビゲームの展覧会レベルX」

東京都写真美術館で、今月8日まで開催しているファミコンなどゲームをテーマにした展覧会に行って来ました。

土曜日の午後という、一番人が入る時間帯に行ったせいもあると思うのですが、会場となっている、写真美術館の地下にある映像展示室は、まるでバーゲン会場のようにごった返していました。
何度かこの美術館には足を運んでいるのですが、こんなに人がはいっているのを見たのは、初めてです。

 この展覧会、チラシによれば「東京都写真美術館は、写真と映像の専門美術館として、これからも進化してゆくテレビゲームを『文化』として位置づけ、社会的意義について考察します」んだそうです。

いままでに扱ったことのないテーマに取り組むという意欲は感じられるし、着想も面白いと思うんですけど、内容的には『文化』としてとりあげたことだけで、満足しちゃったのかなぁ。。。って感じの展覧会でした。
そもそも、美術館で取り上げれば、文化として位置づけることになるんですかねぇ?
それって美術館のおごりだと思うんですけど…。深読みしすぎかもしれないけれど、この文章って、なーんかそういう驕慢が感じられて不愉快でした。

そして、そこまでいうんだったら、それなりの深みのある内容の展示を行う責任が、美術館にはあると思うんです。
恥ずかしながら私、ファミコン…というかゲームに関しては、ほとんど知識がないので、展示作品に関しては、掘り下げたことは言えません。
でも、素人目から見ても、この内容で、この展覧会に来た人を納得させられたとはどうしても思えなかったし、文化として取り上げたというには、あまりにも浅い展示だったように感じられました。
なによりも、美術館では、ゲームをこういう見せ方をするんです!という独自性や、目新しさがなかったことが、致命的だった気がします。

チラシなどを見る限り、この展覧会の目玉は、いままで発売されたファミコンソフトをすべて展示してあることだったようです。
たしかに展示室の壁面を囲むようにおかれた展示ケースの中には、発売年代順に沢山のファミコンソフトのパッケージが所狭しと並んでいました。

こういうのって、ゲームをやっていた方は、見ただけで、懐かしさを感じるとは思います。
実際、周りを見ていると、そういうニュアンスで喜んでいる人たちが沢山いましたし、この展覧会に来た人の大半がそういう楽しみかたをしていたんじゃないかと思います。
でも、そういう思い入れのない私としては、パッケージだけみて、どうなるの?って感じがしちゃうんですよね。
ただ並べただけで『文化』としての価値や、歴史まで、わかるものなんですかねぇ?
わかった人もいるのかもしれませんが、少なくとも、私にはわかりませんでした。

私の同行者が「まるで中古ソフト屋に紛れ込んだようだ」と言っていたのですが、その一言が、一番このコーナーの本質を示しているような気がしてしまいました。

実際に、ゲームを体感するコーナーも、当然あったのですが、会場の真ん中に、そのコーナーが設置してあったために、ただでさえ混んでいる会場が、ますます身動きがとれない状態になる原因となっていました。
私などは、人だかりにうんざりしてしまって、そのコーナーには近づくことも出来ませんでした。
いったい来た人のうち何割がゲームをすることが出来たのかも、怪しいものだと思います。

そのほかに、大きなスクリーンにプロジェクターでゲームを投影して、大画面でゲームを楽しむこともできるようになっているのですが、どう考えても、映像ブースと資料展示は別々のスペースで行ったほうが、すっきりしたんじゃないかなぁと思わずにはいられません。
まぁ、ゲーム体感コーナーだけだと、本当にただのゲーセンになっちゃう危険も否めませんが★
そういう意味では、切り離すことが出来なかった気持ちもわからなくはないですね(^^;

あと、残念だったのが、ドラゴンクエストなどメジャーゲームの製作者のインタビュー映像を、会場の一角で放映していたのですが、まわりの雑音に負けてしまって、音声がものすごく聞き取りにくかったことです。
ゲームと同じく、こういう物は、別のスペースで放映するべきものだと思います。
今回の展示室は、映像展示室という名前の部屋だった筈なのに、映像に対する配慮が、驚くほどされていませんでした。

他にも、様々なゲーム機や、周辺マシンを紹介するコーナーがあったりして、少しでも多くの情報を詰め込もうとする努力はしているようでした。
でも、それだけの情報をきちんと詰め込むには、今回の展示スペースはあまりにも手狭だったと思います。

入館料が250円とお手軽価格であることも、人が沢山入った要因だとは思うのですが、これだけの人が興味を持っているのならば、もう少し入館料を上げて、全館あげての展覧会に仕上げることもできたんじゃないかと思わずにはいられませんでした。

全体的な印象を一言でいうならば、来館者のノスタルジーに甘えすぎた展覧会だったと思います。

ゲームという素材は、突き詰めれば、もっと面白い展示が出来る可能性を、間違いなく秘めていると思うので、もし同じテーマで再び展覧会をするときには、先駆者としての意地を見せた、もっとマニアックな掘り下げ方をした展示を見せてくれることを期待しています。

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■2004/02/15 (日) お引越し

 昨年7月に引越して以来、ネット環境が変わってしまい、自宅からHPの更新ができない状態が続いていました。
 そんな状態ですので、サイトの移転をする必要はずっと感じていたのですが、ついつい先延ばしにしたまま、半年が過ぎてしまいました。
 さすがにこのままではまずいと思いまして、今月に入ってから、引越しの準備にとりかかり、そして今日、やっと引越しを完了することができました。

 実際、作業をはじめてみると、載せたい情報はいろいろあるし、リンク切れの修正など、微調整も多く、けっこう時間がかかってしまいました(^^;;;

 新しいアドレスは、http://twinkle.littlestar.jp/little/index.htmlです。
日記だけを見ている人は、多分いないのと思うのですが(笑)、もしそういう奇特な方がいらっしゃいましたら、メインページの方にもぜひ遊びにいらしてください♪

 せっかく引越したので、ついでというわけではありませんが、久々にブックレビューもUPしました。
ブックレビューの更新って、ほぼ一年ぶりだったんですね★
ぜんぜんそんなつもりはなかったのでびっくりしちゃいました。

 さて、今回レビューしたのは、「ジュンと秘密の友だち」です。
この作品、いつかは必ず書きたいと思っていたのですが、書いて見ると思い入れが強すぎるせいか、なかなかまとまらなくて、妙に苦労してしまいました★
おまけに、かなり長くなってしまいました。
 文章を書くときには、画面をスクロールしないで読める程度の量に、まとめようと思っているのですが、今回は、それも出来ませんでした。
かなり読みにくいかもしれませんが、ご了承ください。

 これからは、もう少しこまめに更新する予定ですので、今まで同様どうかよろしくお願いします。

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■2004/02/26 (木) 更新情報

今日、「佐藤さとるWEB」の灯台守さんがお作りになった、「佐藤さとるファンへの100の質問」に答えてみました。
前からちょこちょこやっていたんですが、100問答えるのって思ったよりも大変で、前回の更新には間に合いませんでした。
「ひまめも」と銘打った自己紹介ページから入れるようになっています。
興味のある方はご覧ください。

あと、閉鎖したとばかり思っていた素材屋さんが、別なところで続けていらっしゃるのを発見したので、リンクを復活しました。
「Leaf」さんというサイトです。
とても気に入っていたサイトだったので、再会したときにはすごく嬉しかったです。
これからは、素材探しにちょっとは迷わなくてすみそうです。

最近展覧会にちっとも行っていないので、日記の方は停滞気味となっています。
そろそろ気になる展覧会が、2、3、終わろうとしているので、動き出す予定です。
行き次第こちらにも感想をUPできると思いますので、ときどき覗いてくださると嬉しいです(^^)

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