■2004/02/06 (金) 「テレビゲームの展覧会レベルX」 |
東京都写真美術館で、今月8日まで開催しているファミコンなどゲームをテーマにした展覧会に行って来ました。
土曜日の午後という、一番人が入る時間帯に行ったせいもあると思うのですが、会場となっている、写真美術館の地下にある映像展示室は、まるでバーゲン会場のようにごった返していました。
何度かこの美術館には足を運んでいるのですが、こんなに人がはいっているのを見たのは、初めてです。
この展覧会、チラシによれば「東京都写真美術館は、写真と映像の専門美術館として、これからも進化してゆくテレビゲームを『文化』として位置づけ、社会的意義について考察します」んだそうです。
いままでに扱ったことのないテーマに取り組むという意欲は感じられるし、着想も面白いと思うんですけど、内容的には『文化』としてとりあげたことだけで、満足しちゃったのかなぁ。。。って感じの展覧会でした。
そもそも、美術館で取り上げれば、文化として位置づけることになるんですかねぇ?
それって美術館のおごりだと思うんですけど…。深読みしすぎかもしれないけれど、この文章って、なーんかそういう驕慢が感じられて不愉快でした。
そして、そこまでいうんだったら、それなりの深みのある内容の展示を行う責任が、美術館にはあると思うんです。
恥ずかしながら私、ファミコン…というかゲームに関しては、ほとんど知識がないので、展示作品に関しては、掘り下げたことは言えません。
でも、素人目から見ても、この内容で、この展覧会に来た人を納得させられたとはどうしても思えなかったし、文化として取り上げたというには、あまりにも浅い展示だったように感じられました。
なによりも、美術館では、ゲームをこういう見せ方をするんです!という独自性や、目新しさがなかったことが、致命的だった気がします。
チラシなどを見る限り、この展覧会の目玉は、いままで発売されたファミコンソフトをすべて展示してあることだったようです。
たしかに展示室の壁面を囲むようにおかれた展示ケースの中には、発売年代順に沢山のファミコンソフトのパッケージが所狭しと並んでいました。
こういうのって、ゲームをやっていた方は、見ただけで、懐かしさを感じるとは思います。
実際、周りを見ていると、そういうニュアンスで喜んでいる人たちが沢山いましたし、この展覧会に来た人の大半がそういう楽しみかたをしていたんじゃないかと思います。
でも、そういう思い入れのない私としては、パッケージだけみて、どうなるの?って感じがしちゃうんですよね。
ただ並べただけで『文化』としての価値や、歴史まで、わかるものなんですかねぇ?
わかった人もいるのかもしれませんが、少なくとも、私にはわかりませんでした。
私の同行者が「まるで中古ソフト屋に紛れ込んだようだ」と言っていたのですが、その一言が、一番このコーナーの本質を示しているような気がしてしまいました。
実際に、ゲームを体感するコーナーも、当然あったのですが、会場の真ん中に、そのコーナーが設置してあったために、ただでさえ混んでいる会場が、ますます身動きがとれない状態になる原因となっていました。
私などは、人だかりにうんざりしてしまって、そのコーナーには近づくことも出来ませんでした。
いったい来た人のうち何割がゲームをすることが出来たのかも、怪しいものだと思います。
そのほかに、大きなスクリーンにプロジェクターでゲームを投影して、大画面でゲームを楽しむこともできるようになっているのですが、どう考えても、映像ブースと資料展示は別々のスペースで行ったほうが、すっきりしたんじゃないかなぁと思わずにはいられません。
まぁ、ゲーム体感コーナーだけだと、本当にただのゲーセンになっちゃう危険も否めませんが★
そういう意味では、切り離すことが出来なかった気持ちもわからなくはないですね(^^;
あと、残念だったのが、ドラゴンクエストなどメジャーゲームの製作者のインタビュー映像を、会場の一角で放映していたのですが、まわりの雑音に負けてしまって、音声がものすごく聞き取りにくかったことです。
ゲームと同じく、こういう物は、別のスペースで放映するべきものだと思います。
今回の展示室は、映像展示室という名前の部屋だった筈なのに、映像に対する配慮が、驚くほどされていませんでした。
他にも、様々なゲーム機や、周辺マシンを紹介するコーナーがあったりして、少しでも多くの情報を詰め込もうとする努力はしているようでした。
でも、それだけの情報をきちんと詰め込むには、今回の展示スペースはあまりにも手狭だったと思います。
入館料が250円とお手軽価格であることも、人が沢山入った要因だとは思うのですが、これだけの人が興味を持っているのならば、もう少し入館料を上げて、全館あげての展覧会に仕上げることもできたんじゃないかと思わずにはいられませんでした。
全体的な印象を一言でいうならば、来館者のノスタルジーに甘えすぎた展覧会だったと思います。
ゲームという素材は、突き詰めれば、もっと面白い展示が出来る可能性を、間違いなく秘めていると思うので、もし同じテーマで再び展覧会をするときには、先駆者としての意地を見せた、もっとマニアックな掘り下げ方をした展示を見せてくれることを期待しています。
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