ひまわりの展覧会へのみちしるべ
2003年5月

■2003/05/12 (月) しばらく休止します。

2ヶ月以上も放置していたこの日記ページですが、しばらくこのような状態がつづきそうなので、10月くらいまで休止したいと思います。

「小さな国へのみちしるべ」の更新も、10月くらいまでは出来ないと思います。
実質的な休止状態となってしまいますが、掲示板のレスだけはするつもりですので、これからもよろしくお願いします。

最後に、3月から4月にかけていった展覧会がいくつかあるので、その感想だけ簡単にかいておきます。

東京国立近代美術館 「ヴォルフガング・ライプ展」

現代美術の展覧会。わたしは、めったに現代物の展覧会には行かないのですが、自然素材を使った個性的なアプローチが、何となく気になって行ってきました。

この人の作品はすべて、大理石やミルク、花粉、蜜蝋など、自然界にある素材を用いて作られています。
自然素材に最低限の手を加えて生まれた人為的な世界は、宗教儀式を思わせる独特の雰囲気を持っているように感じられました。
会場は、全体をあかるめのグレーで統一し、床には、四角い板状の大理石に牛乳を注いだミルクストーンという作品や、自らの手で採集した、ハシバミやタンポポの花粉を敷き詰めた作品が安置されていました。そして、天井には、蜜蝋でできた7艘の船が列を作って並べてありました。
作品を見ているうちに、なぜか神聖な場所を巡礼している巡礼者の気分になってしまいました。
独特の静謐な雰囲気のある展覧会だったと思います。

この方、最初に医学を学び、その後、インドへわたって東洋思想に触れたことが、作品製作を制作する大きな契機になったそうです。
自然素材にほとんど手を加えずに表現するという手法は、なるほど、東洋的な発想だと思います。
でも、花粉を人為的に採集して、本来の姿とは異なる形状に変えてしまう手法や、円形ではなく、方形にならべていくというあたりに、西洋的な発想を感じずにはいられませんでした。

会場内には、蜜蝋のものと思われる、甘い香りがかすかにただよっていました。
ただ、残念なことに、作品に対して、ちょっとスペースが狭くて窮屈な感じがしました。
図録には、教会の中で、この会場内にも展示してあった、花粉をつかった作品のインスタレーションを行っている写真が載っていたのですが、ひろびろとした空間のほうが作品が映えている気がしました。
彼の作品は、広い空間で、自然光の入る場所のほうが合うみたいですね。
現代美術ものにしては、押し付けがましい自己主張が感じられないところに、好感がもてる作品群だったと思います。

あと、タンポポやハシバミ、マツの花粉に、それぞれ微妙な色の差があることを初めて知りました〈笑)
その発想よりも、これだけの量の花粉をあつめた気力に感動しました。

次に行ったのは、
東京国立博物館「西本願寺展」

最近、寺社関連の展示が続いている東博ですが、今回も寺社関連の展覧会でした。
残念ながら、文字関連の展示物が多かったので、個人的にはぴんとこなかったです。
目を引いたのは、料紙装飾の美しさで名高い国宝「三十六人家集」と当時の風俗をいろいろと描写している「慕帰絵」絵巻くらいでしょうか?
ちらしを見て、見たいと思ったのもそれだけだったので、まぁ現物が確認できてよかったな、というくらいの印象しか持てませんでした。
ちょっと見る人を選ぶ展覧会だったように思います。

東京国立近代美術館「青木繁と近代日本のロマンティシズム」展

これは、終わったばっかりの展覧会だったりします(^^;
私も駆込みで見てきたのですが、戦前の日本画壇の一面を知る上で、なかなか勉強になる展覧会だったと思います。
私は、青木繁の「黄泉比良坂」という作品が見たくて出かけたのですが、展示替えがあったらしくて、下絵しか見られなかったのが、残念でなりません。
始まってすぐの方が良い作品が並んでいるのが、判っていながら、同じ過ちを繰り返す自分のバカさ加減が情けない★

その代わりと言う訳ではないですが、関根正二の作品を見れたのは収穫でした(^^)
この人の絵は、本で見る以上に、色彩に透明感があるのには驚きました。
もっともっさりした作品かと思っていたのに、筆のタッチも繊細だし。。。独特の雰囲気のある作品で、一気に好感度がアップしてしまいました。

そして、これと一緒に行ってきたのが、近代美術館の別館である工芸館でやっていた「今日の人形芸術―想念(おもい)の造形」展

今回の展示は、期待していたほどのものではなくて、ちょっとがっかりしちゃいました。
博多人形的な保守的な作品と、四谷シモンをはじめとする、かなり退廃的な西洋の影響を多分に受けた、アンニュイな作品が混在して展示してあったせいで、互いのよさを殺しあっていた気がします(^^;
ちょっと欲張り過ぎちゃったかな、という感じ。
しかも作品が多様なわりに、展示に工夫がないから、すごく単調で平板な印象しか残らなかったのが、かなり勿体なかったです。

人形ってかなり見せ方によって印象のかわる素材であることが、よ〜くわかる展示だったと思います。
もっと人形特有の謎めいた繊細さが強調されている、徹底的にディープな展示を見たいと思わせる展覧会でした。

・・・と、まぁこんな感じでしょうか。
しばらく展覧会にも足を運ぶ機会が減りそうなのですが、休止中に行った展覧会も、復帰したらできるだけ感想をUPしたいと思っています。

それでは、またお会いする日まで。
さようなら(^^)ノ”

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■2003/05/31 (土) 臨時更新:「わんぱく天国」訪問記

休止中ではありますが、どうしても書いておきたい、忘れられない出来事があったので、臨時更新させていただきます。

先週の日曜日に、「わんぱく天国」の舞台となった、憧れの按針塚へ行ってきました!!

按針塚は、想像以上に美しい所でした。
そして、渚橋、鹿島神社を眺めつつ、柿ノ谷を経由して、按針塚へ向かう道のりのあちらこちらに、佐藤さとるさんの物語のエッセンスがちりばめられている場所でした。

町並みは、佐藤さとるさんが生活していた頃とは、間違い無く変わっている筈なのに、緑の多い静かなたたずまいをした町は、それを感じさせないほどの感動を私達に与えてくれました。
佐藤さとるさんの世界を知っている者にとっては、見るものすべてが、物語が現実に立ち表われたかのような、不思議な臨場感が感じられる場所だと思います。

坂が多いのには参りましたが、うっそうとした緑に包まれた按針塚から臨む、港の光景を見ただけで、すべての疲れが癒された気がします。
そこから見る光景は、「星から落ちた小さな人」で、ミツバチ坊やが言っていた「たしかに大きな町だ。でも、やっぱりきゅうくつな町だ」という台詞を彷彿とさせるものがありました。

また、「わんぱく天国」のことをよく知っている、地元の方にお話を伺うことができたおかげで、佐藤さとるさんが住んでいた家のあった場所が判明した上に、いろいろなエピソードを聞くことができたのもありがたかったです。

佐藤さとるさんが住んでいた家は、建て替えられてしまって、今はもうないのですが、木々に囲まれた細い道を歩いていくと、ふっと目の前が開けて家が現れる感じは、「井戸のある谷間」のエピソードを思い出さずにはいられなかったです。

本当は、もっときちんとしたレポートを作成して、コーナーにしたかったのですが、そんなことを言っていると完成がいつになるのかわからないので(^^;、とりあえず、簡単にご報告させていただきました。

近々、もっと詳しい報告が、このサイトのリンク先のどこかとどこかに、登場する事と思います(^^)
楽しみに待っていてください♪

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